一生に一度の振袖姿。だからこそ「自分らしい」を大切にしたい——。
でも、たくさんの柄や色、小物を前にすると、「どう選べばいいのかわからない」と感じる人も多いはず。
このページでは、スタイル別・体型別・雰囲気別に、“自分スタイル”を見つけるためのヒントを、現役着付師の視点でお届けします。
テーマ別コーディネート:どんな自分になりたい?
まずは「こうなりたい」イメージを思い浮かべてみてください。
振袖の色や柄、小物の合わせ方によって、印象はがらりと変わります。
- クラシックスタイル:赤・緑・黒・白などの地色に金または銀系の帯。絞りの帯揚げでふっくら仕上げます。どんな帯結びでも合います。
- ナチュラルスタイル:くすみカラーやモノトーンなどの淡い地色のベースに優しい色味の花柄。麻の葉や桜などの柔らかな柄で、やわらかい雰囲気をまといたい人に。
- レトロ・ポップスタイル:大きめの柄×鮮やかな色使い。椿や市松模様などが人気。丸ぐけの帯締めやビーズバッグなど、遊び心ある小物で差をつけて。
- ガーリースタイル:ピンクやくすみカラーなどのワントーンコーデ。レースやフリルなどの小物でかわいらしさを追求。
- ギャル系スタイル:黒・金・赤などの地色にバラやヒョウ柄など、派手めな色や柄を思いきって取り入れて。ラメやビジュー付きなど、小物でのキラキラ感も忘れずに。シンプルな帯結びで都会的に。
トレンド vs 古典:どう選ぶ?
どちらが正解というわけではなく、大切なのは“自分の好み”と“振袖の持つ物語”のバランスです。
たとえば「古典柄×モダンな小物」「トレンドカラー×伝統文様」など、“MIXコーデ”もおすすめ。
- 古典柄推し派:世代を超えて美しさが伝わるのが古典柄の魅力。ママ振りなど家族に受け継がれた振袖や品格のある柄は、祖父母や親戚からも好評。写真に残すときの“映え”も◎
- トレンド重視派:「自分らしく」「今っぽく」がキーワード。淡色・くすみカラー・韓国風コーデなど、SNS映えする装いも人気です。
帯・小物で雰囲気は変わる!
振袖だけでなく、帯や小物の組み合わせ次第で、印象は何通りにも変わります。
- 帯:モダン寄りにしたいならシンプルな袋帯を、華やかさを重視するなら金銀入りの豪華な帯を。結び方も、福良雀や文庫に代表されるシンメトリー(左右対称)系、立て矢に代表されるアシンメトリー(左右非対称)系など多種多様。
- 小物:帯揚げ、帯締め、重ね衿、草履バッグなどで「色のリンク」をつくると統一感がアップします。逆にあえて一点だけ“はずし”を入れるのもおしゃれ。
- ヘア:振袖では髪はまとめたほうが首回りなどすっきり見えるため、スタイルに関わらずアップをおすすめしています。アップといっても低めのシニヨン、サイドシニヨン、ツインシニヨン、高めのお団子スタイルなどさまざま。前髪やおくれ毛、編み込みなどで自分らしさを出すと◎
- 髪飾り:生花、つまみ細工、ドライフラワー、パールピン、リボン、水引、金箔など。髪型と合わせて“顔まわりの印象”が決まる大事なポイント。
体型・雰囲気別に似合うスタイルとは?
着付師として実際にご相談を受ける中で、「似合う振袖」に悩む方は少なくありません。しかし、振袖は着姿が美しくなるようにタオルやコットンで補正をしていくため、露出の多いドレスほど悩まなくてもよいと考えます。ですが、誰にでもコンプレックスはあるもの。
以下は一例ですが、ご自身の“雰囲気や体型”のお悩みに寄り添った選び方のヒントです。
- スレンダー体型:細かな柄の密度がある振袖で華やかさUP。大柄すぎると振袖に負けることもあるので、帯や小物で立体感を。
- グラマラス体型:大きめの柄や流れるような構図がおすすめ。縦のラインを強調する帯結びや、襟元・袖口をすっきり見せる工夫も効果的。
- 童顔・可愛らしい雰囲気:丸みのある花柄や淡い色合いが似合います。ピンク・ベージュ・水色などのパステル系は柔らかな魅力を引き立てます。
- 大人っぽい顔立ち:深みのある色×古典柄がしっくり。ネイビー、えんじ、ダークグリーンなど、落ち着いた地色に金のアクセントを。
パーソナルカラー・顔タイプで選ぶ振袖スタイル
最近では「パーソナルカラー診断」や「顔タイプ診断」をもとに選ぶ方も増えています。
- イエベ春・秋:オレンジ系、黄みがかった赤、カーキ、コーラルなど。金糸やあたたかみのある小物と相性◎。
- ブルベ夏・冬:ローズピンク、バーガンディ、群青、白地に寒色など。銀糸や淡いグレー小物を使うと洗練された印象に。
- 顔タイプキュート・フレッシュ:丸い柄、明るい色、かわいらしい帯結びで愛され系に。
- 顔タイプクール・エレガント:シャープな構図、深みカラー、凛とした小物選びが映えます。
迷ったら「こうなりたい」からはじめよう
振袖選びの正解は一つではありません。
「自分がどう見られたいか」「どんな自分でいたいか」をイメージすると、自ずと方向性が見えてきます。
着付師としては、「これしか似合わない」と決めつけるより、「こうなりたい」に寄り添うご提案を大切にしています。
あなたらしい一着、見つけてくださいね。