雰囲気作りは、音楽で!

着付師の集会所

成人式の振袖着付けは、技術だけでなく、その場の空気づくりも含めて着付師の仕事だと感じています。

そのため、私は着付け中に音楽を流しています。

理由はとてもシンプルで、無音の時間をつくらないためです。

会話が得意なわけではない場面でも、音楽が流れていれば、こちらが無理に話題を探さなくても、場の空気は自然と保たれます。

沈黙が続くことによる気まずさや緊張感を、音楽がやわらかく和らげてくれます。

ノリのいいお嬢様だと、「この曲知ってる〜」といった一言から、自然に会話が始まることもあります。

無理に盛り上げなくても、きっかけがあるだけで十分。

そのくらいの距離感が、着付けの時間にはちょうどいいと感じています。

着付け中に向いているテンポ(BPM)

着付け中に流す音楽では、テンポ感も意識しています。

目安にしているのは、BPM130以上。

このくらいのテンポだと、

• 作業スピードが維持できる

• 明るい雰囲気

• 空気が前に進む

という状態をつくりやすくなります。

逆に、ゆっくりとしたテンポの曲だと、作業の動きまでゆっくりしてしまうことがあります。

落ち着いてはいるものの、着付けの流れとしては少し間延びしてしまう感覚です。

ちなみに、元吹奏楽部ということもあり、テンポやリズムの変化が身体の動きに直結する感覚があります。

一定のテンポで流れ続ける音楽の方が、着付けという作業には向いていると感じています。

曲選びで意識していること

テンポやBPMに加えて、歌詞の内容にも一応気を配っています。

意味をよく把握していない洋楽やK-POPは、基本的には着付け中には流していません。

こちらが意図していなくても、歌詞の内容によって場の雰囲気や受け取られ方に影響が出る可能性があるからです。

日本語の曲であれば、

• 歌詞の内容が把握できる

• 話題に出ても対応できる

• 場の空気をコントロールしやすい

という安心感があります。

特別に何かを避けているというよりも、着付けという場に集中するための選択です。

2026年に着付け中によく流していた曲(抜粋)

2026年に、実際の着付け現場でよく流していた曲の中から、使いやすかったものを抜粋します。

いずれもアップテンポで、空気を重くしすぎない曲です。

  • YOASOBI(アドレナ、アイドル、Seventeen)
  • Mrs. GREEN APPLE(ライラック、青と夏、ダンスホール)
  • Perfume(巡ループ、My Colour、再生)
  • 幾田りら(百花繚乱、Free Free Free、Voyage)
  • Ado(私は最強、Cats Eye、わたしに花束)
  • Little Glee Monster(Dear My Friend)
  • きゃりーぱみゅぱみゅ(ふりそでーしょん、つけまつける)

曲順は適宜入れ替え、全体としては、アップテンポを中心に50曲前後で構成しています。

着付けの時間は一度きりなので、お嬢様が同じ曲を繰り返し聴かなくて済むようにしています。

曲数をある程度まとめておくことで、途中で操作をしなくても、自然に音楽が流れ続けます。

集中のための工夫

音楽は Apple Music を使用し、持ち運びしやすい Bluetoothスピーカー で流しています。

iPhone本体のスピーカーよりも音質が安定していて、音量も現場に合わせて調整しやすいと感じています。

また、再生中にスマートフォンを触らなくて済むのも大きな利点です。

着付け中は手元に集中したいので、音楽操作のためにスマホを持つ必要がない点を重視しています。

現場でもさっと設置でき、準備の負担になりません。

おわりに

トークに自信がなくても、音楽を流しておくことで場の空気はずいぶん穏やかになります。

無理に盛り上げなくてもいい。

その時間が心地よく流れていけば、それで十分だと思っています。

misako

30代着付師。成人式当日や前撮りなどの現場で、振袖の着付けを担当しています。振袖をきっかけに、人生の節目や日常の中でも、またきものに袖を通してもらえるように――。自分らしさにこだわった、すばらしい振袖姿を監修します。◆日本和装協会認定 師範/教授/着付師技術者 ◆きもの文化検定1級 ◆福祉車いす着付師

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