色・柄・格・素材の基本知識

Choice

後悔しない振袖選びのために。

振袖は、ただ“かわいい”を目指すものだけではありません。
凛とした「かっこよさ」、洗練された「大人っぽさ」、あるいは自分らしさを貫く「こだわり」や「推し色」など——
選ぶ基準は、ひとり一人ちがっていいはずです。

その上で少しだけ、色・柄・格・素材に関する基本を知っておくと、
自分にとって「しっくりくる一着」と出会いやすくなります。

色:似合うも、好きも、自分らしさ

振袖選びで最初に目に飛び込んでくるのが「色」。
選び方にはいくつかのアプローチがあります。

たとえば、肌の色や雰囲気に合わせて似合う色を考えるパーソナルカラー(ブルベ/イエベ)。
くすみ系・アースカラーなどトレンドを意識した色も人気です。
一方で、「推し色だから」「普段選ばない色にチャレンジしたい」など、感覚的な理由も立派な動機です。


ブルベ(ブルーベース)向け:青みのある赤、ラベンダー、グレー系、紺や深緑など
イエベ(イエローベース)向け:朱赤、からし色、アイボリー、ベージュ、抹茶色など

また、“二十歳だからこそ似合う”色としての王道は「赤系」
振袖らしさを大切にしたい人や、ご家族からの希望にも応えやすい色です。

「かわいい」だけじゃなく、「かっこよく」「大人っぽく」「クールに」も叶えられるのが振袖の魅力。
選びながら、“今の自分”と“これからの自分”両方に似合う色を探してみてください。

ですが、最終的には「好き」と「納得できる」ことが一番。

パーソナルカラーにこだわりすぎなくても大丈夫です。

柄:意味を知れば、振袖がもっと特別になる

振袖の柄は、その人の雰囲気や個性をぐっと引き立ててくれます。
選ぶ基準は、「意味」や「格」に注目しても、「デザイン性」「直感的な好み」から入ってもOK。
ここでは代表的な柄の特徴と、選ぶヒントをご紹介します。

四季の花々:人生の節目にふさわしい、華やかな象徴

桜・牡丹・梅・菊など、日本の季節を彩る花々は振袖の定番モチーフ。
「おめでたい」「美しさ」「成長」などポジティブな意味が込められています。

振袖に描かれる代表的な花についてはこちらの記事でご紹介しています。

吉祥文様:幸せを願う縁起のモチーフ

「吉祥」とは“おめでたい兆し”のこと。
鶴・亀・松竹梅・宝尽くし・雲取り・扇など、古くから“長寿・繁栄・幸運”を願う文様がたくさん使われています。
意味が分かると、選ぶ振袖にさらに愛着がわくはずです。

有職文様(ゆうそくもんよう):格調高く、気品ある佇まいに

平安貴族の装束に由来する文様。亀甲・七宝・青海波・立涌など、シンメトリーで繰り返しのあるデザインが特徴です。
知的で上品な印象を与え、クラシカルなコーディネートにぴったりです。

器物文様:優雅さと品格を添える、暮らしの美しい道具たち

貝桶・几帳(きちょう)・御所車・檜扇など、かつての貴族の暮らしに使われていた調度品を図案化したもの。
王朝文化の優美さを感じさせ、格調高い印象に仕上がります。格式ある場面にもぴったり。

ポップ&レトロ:個性派さんのモチーフ

丸紋、矢絣、水玉、大ぶりの花柄など、昭和レトロや大正ロマンのような世界観が特徴。
「自分らしさ」や「遊び心」を大事にしたい人に人気のジャンルです。

古典柄、モダン柄、レトロポップな柄などさまざまなテイストがあり、選ぶときは「伝統的」か「モダン」かだけでなく、《かわいく》《かっこよく》《大人っぽく》《中性的に》などのイメージや、
「どう見られたいか」や「なりたい自分」を軸にするのもおすすめ。

最近はアースカラーやくすみカラーも増えており、ブルベ・イエベのパーソナルカラーを意識した選び方も浸透しつつあります。

なお、王道の“赤”や“朱”は、若さと華やかさを象徴する二十歳ならではの色。
「今しか似合わない」をあえて選ぶのも、記念の一着としての魅力のひとつです。

素材:着心地も、質感も、写真映えも左右する大事な要素

振袖を選ぶとき、意外と見落とされがちなのが「素材」。
同じように見える柄でも、生地の種類によって印象も着心地も大きく変わります。
ここでは代表的な素材と、それぞれの特徴をご紹介します。

正絹(しょうけん)|本格派の王道。しなやかで上品な光沢

天然の絹100%で織られた素材。しっとりとした肌ざわりと自然な光沢が魅力です。
見た目に高級感があり、写真に写ったときにも美しく、格式高い場面にも安心して着用できます。
ただし水や摩擦にやや弱いため、扱いには丁寧さが必要です。

同じ正絹でも、織り方によって表情が変わります。
紋意匠:文様が地模様として織り出されており、控えめながら高級感がある
綸子:ツヤと滑らかさが際立つ生地。光沢重視の華やかさがある

ポリエステル|リーズナブルでお手入れ簡単、選択肢も豊富

近年は技術が進み、ポリエステルでも見た目に遜色ないものが増えています。
「一度きりだからコストを抑えたい」「普段着としても使いたい」という人におすすめです。
ただし、静電気が起きやすい・通気性はやや劣るなど、正絹とは違う質感もあるため、試着して違いを比べてみるのがおすすめです。

素材名を聞いてもピンとこないときは、「試着したときの重さや動きやすさ」「触り心地」「光の反射の仕方」などをチェックしてみると、違いがつかみやすくなります。

知識があると、自信をもって選べる

色も柄も素材も、知れば知るほど“選ぶ理由”が増えていきます。
理由があるからこそ、着たときの自分に納得ができる。
そして、その一着が「思い出」ではなく、「これからも着たい」に変わることもあります。

何を選ぶかはもちろん大切ですが、「どう選ぶか」はもっと大切。
選ぶ時間ごと、楽しんでいただけますように。

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