振袖には、四季折々の花々が美しく描かれています。それぞれの花には意味があり、“どんな女性になりたいか”という願いや、縁起を込めて描かれることも。
ここでは、振袖によく登場する代表的な花々をご紹介します。
◆ 桜(さくら)|日本人に愛される花

桜は古くから愛されている花で、様々な形で文様化されています。花びらの儚さも含めて、一瞬の美しさを大切にする日本的な美意識が込められています。
春生まれや、やわらかく優しい雰囲気が好きな方に。
◆ 梅(うめ)|忍耐・気品・春を告げる花

寒さの中でいち早く咲く梅は、強さや気高さの象徴。
紅白の梅柄はおめでたい柄とされ、華やかさもありながらどこか凛とした印象に。
和の風情が好きな方にぴったりです。
◆ 松(まつ)|長寿・不変・冬の象徴

松は一年中緑を保つことから、不老長寿・永続・繁栄を象徴します。
振袖では、松竹梅として描かれることも多く、格式高いデザインに多く用いられます。
◆ 菊(きく)|高貴・品格・長寿

日本には奈良時代から平安時代にかけて渡来。秋の花ですが、古典的な吉祥文様として広く好まれ、きものの柄に季節を問わず多様されます。
上品さやクラシックな雰囲気を求める方に。
◆ 竹(たけ)|成長・柔軟

竹は、松・梅とともに冬の寒さに耐える歳寒三友のひとつ。
節がありながらまっすぐ伸びる竹は、まっすぐ育ってほしいという願いが込められた縁起物。
松や梅と一緒に描かれることが多く、和の心を大切にするコーディネートに。
◆ 牡丹(ぼたん)|豪華・華麗・富貴

奈良時代に中国から伝えられ、百花の王、富貴の花として愛されてきた牡丹は、華やかで大胆な美の象徴。
振袖では大きく描かれることが多く、存在感抜群。“主役感”を演出したい方におすすめ。
◆ 薔薇(バラ)|情熱・美・モダン

薔薇は西洋では美と愛の象徴として様々な装飾に用いられてきました。洋花でありながら、現代的なかわいさ・強さ・色っぽさを表現できます。
モード系や個性的なコーデを目指す方に人気。
◆ 椿(つばき)|控えめな華・誠実・冬の花

椿は春の到来を告げる聖なる木として好まれてきました。丸く可愛らしい椿は、控えめな中にも芯の強さを感じさせる冬の花。
紅白のコントラストも美しく、ナチュラル派にもおすすめ。
レトロモダンや大正ロマンスタイルにもぴったりです。
◆ 百合(ゆり)|清らかさ・高貴・凛とした美

白い百合は特に、純粋・無垢・気品の象徴とされます。
縦長の花のフォルムがスタイリッシュで、スラっとした印象を演出できます。
◆ 橘(たちばな)|永遠・実り・香りの象徴

橘はみかんの仲間の一種。格調高い文様として、振袖では葉と実をあわせて描かれることが多いです。
清楚で和の香り漂う、伝統的な美しさがあります。
◆ 彼岸花(ひがんばな)|儚さ・情熱・忘れがたい想い

燃えるような赤い花が特徴の彼岸花は、
振袖にはかなり珍しく、見かけることは稀ですが、印象的でドラマチックな雰囲気を演出したい方におすすめ。
力強さと静けさが共存する、不思議な魅力のあるモチーフです。
個人的には、振袖選びの時に「これが着たい!」と思ったのが、丹下雄介先生の彼岸花の振袖でした。完全に予算オーバーで眺めるだけとなりましたが、今でも憧れの振袖です。まさに「忘れがたい想い」です。
花モチーフは、見た目の美しさだけでなく、あなたの内面や願いを表現する大切な要素。
振袖を選ぶときに「どんな花が好き?」「どんな女性になりたい?」と考えてみるのも楽しい時間です。