なぜ現代では「きもの=高い、晴れ着」になったのか

Life

「きものは高い」

「特別な日に着るもの」

「大変そう」「苦しそう」「面倒そう」

今、きものに対して持たれているイメージは、だいたいこのあたりに集約される気がします。

きものそのものの性質というより、現代の環境の中で作られてきたイメージなのではないかと感じています。

日常着だったきものが、非日常になった理由

もともと、きものは日常着であり、「着るもの」

仕事着でもあり、外出着でもあり、特別な行事だけのものではありませんでした。

けれど、生活様式が大きく変わり、洋服が当たり前になったことで、きものは「着られる人が限られる服」になっていきます。

着る人が減る→着る場面が減る→特別な場面だけが残る

その結果、「晴れ着」「非日常」というイメージが強くなりました。

「高い」という印象が先行する理由

きもの=高い、という印象も、実はこの流れと深く関係しています。

現代で多くの人がきものに触れる場面は、

• 成人式

• 結婚式

• 七五三

など、人生の節目が中心です。

そこで目にするのは、レンタルやセット販売、ある程度の金額帯のもの。

「最初に触れるきもの」が高額であれば、きもの全体が高いと思われるのは、当然なのかもしれません。

面倒・大変・苦しい、と思われる理由

きものに対して「大変そう」「苦しそう」という印象があるのも、無理はないと思います。

• 着方が分からない

• 一人では着られないと思われている

• 苦しい着付けの記憶や話を聞く

特に、

「一日着たら疲れた」

「早く脱ぎたくなった」

という体験談は、強く残ります。

でもそれは、きものそのものが苦しいというより、合っていないサイズや、無理な着付けによるものが多いと感じています。

着る人が増えない一番の理由

私が現場で感じているのは、

「きものに興味がない」よりも、「どう始めたらいいか分からない」という声の多さです。

高そう。難しそう。失敗しそう。そのハードルが、最初の一歩を遠ざけているように思います。

もっと気軽に、きものは、

• 必ずしも新品でなくていい

• 必ずしも高価でなくていい

• 必ずしも完璧に着なくていい

すべてを一度に整えなくても、少しずつ知って、少しずつ慣れていけばいい。

実際に、サイズが合っていて、無理のない着付けで、自分が納得して選んだきものは、「大変」より「楽しい」が残ります。

着る人が増えてほしい理由

きものを着る人が増えてほしい。

それは、業界を盛り上げたいからでも、売りたいからでもありません。

「きものは特別な人のもの」「詳しい人だけのもの」そう思われてしまうのは、やっぱり少し寂しい。

もっと気軽に、もっと個人的な理由で、きものを選んでいいと思っています。

おわりに

きものが高く見えるのも、晴れ着のイメージが強いのも、面倒そうに見えるのも、すべては、現代の環境の中で作られた印象です。

きもの自体が、人を遠ざけているわけではありません。

着る人が増えれば、きものの見え方も、きっと変わる。

その入口を、少しずつ広げていけたらいいなと思っています。

misako

30代着付師。成人式当日や前撮りなどの現場で、振袖の着付けを担当しています。振袖をきっかけに、人生の節目や日常の中でも、またきものに袖を通してもらえるように――。自分らしさにこだわった、すばらしい振袖姿を監修します。◆日本和装協会認定 師範/教授/着付師技術者 ◆きもの文化検定1級 ◆福祉車いす着付師

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